例えば、夜寝ているとなんだか外が騒がしい。庭の犬も唸り声をあげている。

何だろうと思い起き上がり、暗い部屋の中を手探りで廊下に出る。なんとも言えない不気味な雰囲気が漂っている。

リビングに出ると月明かりが部屋を照らしている。窓の外で犬が走り回り、遠くの街に向かって吠えている。そちらに目をやると、街の方が明るくなっている。煙も上がっている。火事だろうか。サイレンの音も遠くに聞こえている。しかし人々の悲鳴や怒号がただの火災だけではないことを告げている。郊外の我が家の前の道を、人々は街から逃げるように走っている。反対に街に向かう自動車があると思ったら軍の車両だ。

ただならぬことが起きていると直感し、ここにいてはまずいのではないかと考える。その時電話が鳴る。受話器をとると、街に暮らしている兄である。兄は開口一番に「逃げろ!」と叫んでいる。何があったと聞くが、とにかくなるべく遠くに逃げるんだと繰り返しまくし立てる。電話口から不気味な唸り声と銃声、それから人の悲鳴が聞こえる。電話は切れてしまった。

二階で寝ていた娘を叩き起こし、車に飛び乗る。街と反対の方向に向かって車を出した。路上に広がる光景は悪夢そのものだ。人々はパニック状態で走り回り、それを虚ろな目をしたゾンビが追いかけている。追いつかれてしまったのだろう、哀れな姿でゾンビに貪り喰われる者もいた。

一刻も早くこの場所から離れなくては。そう思いアクセルを強く踏み込むが、前方から現れたゾンビが向かってくる。右にも左にも避けることができず、ゾンビを轢いて突破しようとしたが、ボンネットの上に乗り上げ、フロントガラスに強烈にぶつかった。フロントガラスが砕け、車はエンストしてしまう。そうこうしているうちに周りを囲まれた。

 

地震・津波・豪雨による土砂崩れ・北朝鮮のミサイルなど、様々な災害が私たちを襲い、毎年何人もの人が命を落としますが、ゾンビパンデミックもそのひとつ。いつこのようなゾンビパンデミックが起きてもいいように、あなたも今の内から準備をしておきましょう。今回はゾンビサバイバルガイドを紹介します。

 

こちらがマックス・ブルックス著、ゾンビサバイバルガイドです。僕が買った時はAmazonで2000円くらいでした。KADOKAWAから出版されています。

この本にはゾンビパンデミックに際してのありとあらゆる有用な情報が満載です。本の内容をネタバレにならない範囲で紹介していきます。

 

目次

不死者:伝説と真実

この章は「ゾンビとは何か」を詳細に解説しています。

ゾンビウイルスの発生源が未だ不明であることや感染した時の症状タイムテーブルが示されているほか、ゾンビの身体的特徴を挙げ、視覚・聴覚・嗅覚などについても解説しています。

また、ゾンビの呼吸は? ゾンビの血液循環は? ゾンビの繁殖は? 知能は、コミュニケーションは、社会活動は? といった、あなたも一度は抱いたことがあるだろう数々の疑問に答えています。

 

博学な方はヴードゥー教というアフリカ系カリブ人の土着宗教をご存知でしょう。そう、ヴードュー教にはゾンビが実在しますよね。それに関しても解説があります。

 

そしてゾンビの大発生、つまりパンデミックの災害としてのグレード分けについて、さらにはパンデミックをいち早く察知するための心構えが記載されています。

 

 

武器と戦闘技術

この章ではゾンビに対して有効な武器とその扱いについて解説されています。

例えば接近戦等の場面で用いる殴打武器としては杖、鉄パイプ、棍棒、アルミ製の金属バット、大工用の片手ハンマー、鋼鉄製の釘抜き(バール)の中で最も優れた武器は何でしょうか。ここでは答えを書いてしまいますね、それは釘抜きです。そこのあなた、正解です。なぜ釘抜きが優れているのか。なぜ金属バットではいけないのか。それはこの本を読んで確かめてみてください。

 

そのほか、刃を持つ武器(斧など)、電動工具(チェーンソーなど)、投石器、弓矢、銃器、爆発物、火炎ビンなどについても解説があります。重機関銃、サブマシンガン、アサルトライフル、ボルトアクションライフル、セミオートライフル、ショットガン、拳銃のうち、追いかけてくるゾンビに対して最も有効な銃器はどれでしょうか。答えはこの本の中にあります。

 

防御法

ゾンビに対して、いかに身を守ればいいのでしょうか。この章では立てこもる場所別に解説されています。

個人の住宅における家の補強、物資の確保のほか、まず取り組むべきことが書かれています。物資を保管するのは何階がいいでしょうか。

 

公共の空間ではどうでしょう。オフィスビル・学校・ショッピングモール・病院のうち、逃げ込むべき場所はどこだと思いますか?

 

 

逃亡法

ゾンビからいかに逃げるか。どこまで逃げれば安全なのか。何れにしても長い旅になることは間違いありません。旅の前に確認すべき装備品は何でしょうか。

旅路はどのような手段で行くべきでしょうか。徒歩、それとも車、あるいは船でしょうか。車だとして、適切な車のタイプはどうでしょう。セダンでしょうか、SUVでしょうか、トラックでしょうか。

実は車による移動というのは一見魅力的に見えるのですが、ゾンビパンデミック下においては最も避けるべき手段の一つなのです。それはなぜでしょうか。例えば燃料の問題はどうでしょう。どの道を使えば安全か、一体どうやって知るのでしょうか。道路は乗り捨てられた車でいっぱいでとても通行できる状態ではないでしょう。エンジンの音はゾンビをおびき寄せることになるでしょう。

 

 

攻撃法

生き残るためには他者との協力が不可欠です。チームを組み、拠点を作ったら、今度は拠点を襲ってくるゾンビを返り討ちにする必要があります。ゾンビの襲撃をどのように察知しますか? どのように攻撃しますか? サーチ・アンド・デストロイの方法がこの章で解説されています。

この章こそゾンビと人間の決定的な知能の違いを最大限活用し、生き残るために必要な知恵をあなたに授けてくれることでしょう。また、地形別の戦闘方法についても詳しく解説しています。

 

 

ゾンビの支配する世界で

ゾンビパンデミックが起きて孤立してしまった時の心構えが記載されている章です。

とにかく仲間を見つけること、贅沢品は諦めること、避難場所について、移動経路について、そしてゾンビが支配する世界で生き続けなければいけない場合、どんな場所が適切かを知ることができます。

例えば砂漠で生きるというのはどうでしょう。ゾンビは暑さも渇きも感じないため、ゾンビに対しては効果的とは言えません。しかし無法状態の中でギャング化した人間の集団から身を守るという点では効果的です。

 

ジャングルはどうでしょう。視界の悪さとぬかるむ地面は防御向きで、山賊に対してもゾンビに対しても待ち伏せや撃退を容易にします。一方で毒を持つ虫や黄熱病、マラリア、デング熱などを媒介する虫もジャングルには存在しています。

 

では孤島はどうでしょう。海に囲まれた無人島なら、ゾンビは泳げませんから、大量のゾンビに襲われる心配をしなくてよくなります。しかしこれは誰もが思いつくこと。沖合の島には避難民が殺到するでしょうし、その中にはゾンビウイルス感染者が混じっていたり、ギャング集団が海賊化して略奪に来る可能性も高いでしょう。また、長期的に見れば、世界中がゾンビになった頃には海底にも多くのゾンビが這いずり回っているはずです。そのうちの何匹かが上陸する可能性もゼロではありません。島で過ごすなら船は生命線です。船が流されてしまったらもしもの時に島から逃げ出すこともできなくなります。

 

 

ゾンビ襲撃記録

この章では世界各地のこれまでのゾンビ襲撃記録が記されています。北米地域が多いですが、アジアやアフリカの事例も紹介されています。

なんと日本についても江戸時代の記録が紹介されています。

 

 

この本でゾンビパンデミックを生き残りましょう

これまでに世界中で何度も起こっており、いつあなたの身近に起こるとも知れないゾンビの大発生。地震に備えてペットボトルの水を買っておいたり、津波に備えて原子力発電所を稼働させるかどうか活発に議論したりするのに、ゾンビパンデミックに備えないのは愚の骨頂です。もしもの時、あなたの身を守るのはあなた自身。ゾンビパンデミックが起こってからでは皆がこの本を買い求めて書店やネット通販に殺到し売り切れ続出、手に入らない状態になってしまっているでしょうから、今のうちに手元に一冊置いておくのがオススメです。

 

もし仮に、あなたがすでにゾンビウイルスに感染してしまった場合。あるいはゾンビに噛みつかれてあなた自身もゾンビになってしまった場合には、こちらの本をお勧めします。

こちらの本ではゾンビとしての作法を学ぶことができますので、ゾンビになった後も恥をかかずにすみます。 

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