メルセデスは最近、多くのモデルで「リアアクスルステアリング」という機能をオプション提供しており、僕のCクラスにもこれが搭載されています。
リアアクスルステアリングはいわゆる後輪操舵のことで、ハンドル(ステアリング)を回した時に、前輪だけでなく後輪も切れる機能です。
Cクラスの場合、左右それぞれに最大2.5度の切れ角で設定されています。
このリアアクスルステアリングは当然、小回り性能に大きく寄与します。
Cクラスはもともと最小回転半径5.2mと、同じくらいのサイズの車の中では小回りが利くほうですが、リアアクスルステアリング搭載車では5.0mとなります。
5.0mと言ったら、コンパクトカーに匹敵するレベルです。トヨタ アクアが5.2m、マツダ MAZDA 2が4.9mと言えば、その小回り性能がいかに優れているかがわかるはずです。
Cクラスはステアリングの方もロックトゥロック2回転と非常にクイックな設定になっていることもあって、本当に驚くほど曲がります。「この車なんでこんなに曲がるの」ってレベルで曲がります。乗り換えて最初の慣れるまでは、曲がりすぎて調整が難しいほどでした。
(もちろん、しばらく走って慣れてしまえば困ることはなくなります)
そんな小回り性能は、狭い駐車場などでの取り回しに直結します。
それだけでなく、交差点やカーブでもぐいぐい切り込んでいけます。
それでいて、走行中のフィーリングとしては、とても自然です。意図したよりも曲がりすぎてしまうとか、狙ったラインをトレースできないといったこともありません。「このくらいステアリングを切って、このくらいのカーブを描きながら曲がりたい」という直観に、忠実に動いてくれます。
また、後輪が操舵することは、乗り心地にも寄与します。
リアアクスルステアリングを搭載したCクラスは、後輪からもヨーを発生できるため、交差点やカーブを曲がるときも車両の姿勢をフラットに保ったまま曲がれます。重だるく曲がる感覚が全然なくて、軽快かつ安定してコーナリングできます。
さらに、カーブを脱出する時も、ただでさえ少ないロールがあれっと思うほど早く収束します。
普通の車では、例えば左にステアリングを切って曲がっていく際、遠心力で車両とドライバーの身体は右に振られます。カーブを脱出するためにステアリングを戻していくと、今度はその反動で少し左に振られながら、最終的に中立位置に戻って安定します。
リアアクスルステアリング搭載のCクラスでは、その「反動で左に振られる」がほとんど発生しません。ピタッと中立位置に収束し、もう何事もなかったかのよう。不快な振動や揺さぶられ感をあとに残しません。
思うに、後輪駆動と後輪操舵の相性もいいのでしょう。
もともとW206型Cクラスが発表された時、リアアクスルステアリングは目玉機能として華々しく紹介されていました。となれば、Cクラスの設計はリアアクスルステアリングを前提としているのでしょう。リアアクスルステアリングがあってこそCクラスをフルに楽しめる、と言っても過言ではないかもしれません。
BMWやトヨタなど他のメーカーも同様の機能を搭載した車種がありますが、少なくともメルセデスはこれを完全に使いこなしています。
オプション料金は決して安くはありませんが、個人的には間違いなく付けてよかったオプションだと考えています。実用性も走行性能もアップするので、これからCクラスを購入する人にはぜひおすすめしたいです。
コメント