ドライブモードセレクトと呼ばれる機能は、今どきの車であればどのメーカーの車種でも搭載されていますが、メルセデスの場合はそれをダイナミックセレクトと呼んでいます。
Cクラスの場合、中央のディスプレイ下端に物理ボタンとして存在しているバーの左端に、ダイナミックセレクト切り替えボタンが配置されています。
ここで選択できるモードは、次の通り。
- エコ(Eco)
- コンフォート(Confort)
- スポーツ(Sport)
- スポーツ+(Sport+)
- インディビジュアル(Individual)
スポーツ+は、W206販売開始当初はガソリンエンジンモデルの特権でしたが、僕が購入した2025年・プロダクトコードMP202501の時点で、ディーゼルエンジンでも選択できるようになっています。
さて、今回は特にエコモードについて見ていきましょう。
他社のドライブモードセレクトでは、エコモードというと、エンジンの出力を絞って普通よりもおとなしく走るモードになっていることがありがちです。
そこはもう燃料消費量を抑えることが優先で、走行フィーリングや走行性能の方はスポイルされてしまっているのですね。まあエコモードですからね。
しかしCクラスの……というかメルセデスのだと思いますが、エコモードでは、エンジン出力は標準(コンフォートモード)と変わりません。
例えば信号待ちの停車から、信号が青に変わって発進、加速、巡行といった場面において、エコモードとコンフォートモードの間に差はなく、区別もつきません。
性能を意図的に落とすことをしないというのは、個人的にはとても嬉しい仕様です。
では、エコモードでは何が違うのかというと、たったひとつ「空走(惰走)」ができることです。
巡行中にアクセルオフすると、エンジンがすとんと停止して、そのまま惰性で走り続けます。
走っている最中にも容赦なくエンジンが止まることで、燃料消費を抑えるわけですね。
これのいい所は、エンジンブレーキが掛からなくなるので、勢いそのままに走り続けられること。コンフォートモードで走行中にアクセルオフするとエンジンブレーキにより徐々にスピードが落ちていきますが、エコモードではかなり伸びがいい空走を見せてくれます。この伸び感がまた気持ちいい。試乗の機会がある方はぜひ体験してみてください。
さらに、エコモードはCクラスのISG(マイルドハイブリッド機構)とも非常に相性がいいです。
エコモードにしていると上記の通り、エンジンがすとんすとんとすぐに落ちるわけですが、そこからの復帰がISGのおかげで素晴らしく滑らか、かつラグがありません。
振動も音もなく、瞬時にエンジンが起動して必要なトルクを生み出せるのは、まさにISGの恩恵ですね。結果的に、空走することにより発生するはずのデメリットが全く発生していません。
ちなみに空走中は、前の車との車間距離など状況を車の側で判断して、適宜エンジンを再始動してくれたり、そもそも空走に入らないようにしてくれたりします。エンジンブレーキが必要だと判断する場面ではきちんとエンジンブレーキが掛かる状態にしてくれるということですね。これも気が利いている。
ごくまれに低速域でエンジンが止まって再始動してを繰り返すような場面になってしまうと、さすがにギクシャク感が出ることもありますが、それを差し引いてもエコモードは優秀です。
個人的にはずっとエコモードでいいくらいです。
標準のコンフォートモードから悪くなるところがほとんどありません。
空走の伸び感が気に入った人は、みんな同じように思うのではないでしょうか。
標準はコンフォートモードなので、車に乗り込むたびにコンフォートに戻ってしまうのが、唯一の欠点と言えそうです。
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